大地を母とするならば太陽は父。森は髪の毛?(笑)いやいやそんな事ではありません。屋久島は癒しの空間として扱われることが多いのですが、実は森の樹々達は僅かな日照権を巡って弱肉強食の厳しい競争を繰り広げています。ある樹は杉に取憑き光を奪い、勢い付いたら絞め上げ殺してしまう。締め上げられた杉は倒れたくても倒れることを許されず朽ちて行く。その姿を癒しとして眺める小さな生命体を滑稽に思うと同時に、その朽ち行く杉が次の生命への糧となっていることに感嘆の声を上げてしまった。

日照時間が一年の中で最も短くなる旧暦の霜月、今の暦では12月。自然界では気温が下がり草木が枯れ夜の支配が長くなり生命エネルギーが衰退する季節。これでは新年を迎えることが出来ないと考えた先人達は「火を熾し湯を沸かし払い清め」生命エネルギーの復活を願ったことが祭りの始まりとされています。この神事に地域の伝説等が盛り込まれ現在の霜月祭となったようです。霜月祭は僕の故郷のお祭り、現在東京に住む僕は神事に参加することが出来ませんが撮影を通して神事に参加しているつもりです。

広大な大地に広がる牧草地、長閑に草を食む羊達。かと思えば、日本では限られた地域でしか見ることが出来なくなった巨木達。やむことを忘れてしまったかのように降り続ける雨の森。日本と同じような緯度に位置し大きな大陸と隣にあり四季が存在するニュージーランドは日本とも共通点が多い。その反面、南半球にあるとは言え氷河を抱くアルプスに岩をナイフで削り取ったかのようなフィヨルド。日本と酷似した環境に日本にはない素顔を持った島に興味を持ち、時間が出来れば旅を繰り返しています。

アシスタント時代の話ですが学校の後輩が「僕と一緒にアラスカに行きませんか?」と目を輝かせて熱く語ってくれたことを昨日のように思い出す事があります。そんな事があり偶然本屋で手に取った小説「アラスカ物語」(新田次郎著)主人公はジャパニーズモーゼと言われた日本人。いつしかその足跡を旅してみたいと思うようになりました。そんな時に星野道夫さんの死が・・・僕をアラスカに誘った後輩とは今は連絡が取れませんが、僕が写真家でいれば何時か再開する事が出来ると思っています。そんな旅の途中の出来事です。

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